この未知の部族は絶滅したといっていいのですが、最後の生き残りがいました。
それがアウラとアウレと名付けられた二人の男性。
のちほど詳しく説明しますが、現在もアウラは生きており、アウレの方はすでに亡くなっています。
今年2018年に世界的に大きな話題となったものが「ザ・ラストマン」でした。
このザ・ラストマンは、ブラジルのアマゾンで今もただ一人で昔ながらの生活を続けているという男性。
あることが原因で自分の部族の人たちが全員亡くなるという悲惨な出来事が起こったようです。
こういったことにはアマゾンの開発が絡んでおり、先住民に関する社会問題となっているようです。
ザ・ラストマンだけでなく、アウラとアウレも同じような目にあったと考えられています。
話を元に戻しますね。
「イゾラド」という聞きなれない言葉。
南米では「イゾラド」と言えば、スペイン語やポルトガル語で「隔絶された人々」という意味。
英単語で言えば、「isolated」。
その意味は、「孤立した」「隔離された」「分離された」というもの。
こういったことからすると、アマゾンの先住民族のことがかなりイメージ出来るかもしれません。
「イゾラド」は原初の先住民たちのことであり、もっとも「イゾラド」当人たちは自らがそのように呼ばれていることを知らないでしょう。
また、仮にそう呼ばれていることを知ったところで、彼らにとって意味がある重要なことではないかもしれません。
文化や言語はもちろん、価値観などが我々が想像もできないような違いがあるでしょうから。
ところで、「ノモレ」というタイトルの本があります。
NHKスペシャル「最後のイゾラド」から生まれたノンフィクションの本です。
この本の中でイゾラドのことがいろいろと書かれています。
ノモレというのはイネ族の言葉で仲間や友という意味です。
アマゾンの密林に暮らしている彼ら「イゾラド」は文明社会と一切のかかわりを持たず、野蛮な原初の部族だと恐れられています。
あまりにも違いすぎる文明レベルからすると、そういう見方もありますが、彼らの方からすると、我々の方をどう見ているか。
500年以上も前の南米は様々な動物とイゾラドたちが自然のままに暮らす楽園のようだったようです。
アメリカ大陸発見後は、開拓民によって・・・、不法な伐採業者によって・・・、黄金を採掘するガリンペイロによって・・・、イゾラドの生活圏は脅かされ、彼らのいろんなものが奪われてきました。
自分たちの村が侵略され続けるという歴史はどんなに恐ろしく、かつ過酷なものであったか。
彼ら「イゾラド」は文明側の人間に向けてどんな気持ちを抱いているのでしょうか?
500年前から現在に至るまでの間、「イゾラド」の人々が生活している場所は減少してきました。
今現在、南米の5か所だけに確認される「イゾラド」が最後の生き残りと言われています。
また、言語学者のノルバウ・オリベイラさんとNHKディレクターで日本のノンフィクション作家でもある国分拓(こくぶんひろむ)さんについても興味あるところです。
イゾラド(アマゾン先住民族)とは?
すでに記事冒頭でも少し説明しましたが、アマゾン先住民族イゾラドとは?
言語的なその意味などから、文明社会と接触したことのない「原初の人々」=「イゾラド」です。
アマゾン源流域、ブラジルとペルーの国境地帯にいるという彼らは、部族名も言語も人数もそれら詳細は今だに不明。
「イゾラド」は文明社会と接触したことのない未知の先住民族。
現在、その「イゾラド」の目撃情報が相次いでいます。
森に猟に入った若者が弓矢で腹を射抜かれたりとか・・・。
川辺で遊んでいた少女の足元に数本の矢が飛んで来たり・・・。
「イゾラド」の集団に取り囲まれた村からSOSが発信されたなんてことも。
なぜ突如彼らは、文明社会の領域に姿を現すようになったのでしょうか?
イゾラドの現在について
イゾラドの現在についてですが、のちほど紹介するアウラという男性が今も生きています。
もう一人、アウレという男性がいたのですが、すでに亡くなっています。
このアウラとアウレが所属していた部族の他の人については詳細はわかっていません。
彼らは文明社会と一切の関わりを持ってこなかったですから。
アウラを除けば現在も。
洋服を着ないし、基本的に何も身に着けていない。
しかし、現在のアウラは服を着ているとのことです。
男性も女性も下半身には基本的に何も身に着けていません。
男性の場合は、下半身の先を紐で結んで、腰のところでゆわえており、女性は一切隠していません。
普通は腰巻などで微妙に隠したりするものなので、世界の原住民の中でも相当に珍しいケースと思われます。
文明社会と交流のない彼らにとって「服を着る」という文化がないようです。
我々は衣服などを身につけることで、体の一部を人に見られないようにしますが、文化や価値観などが大きく違う彼らにとってはそれはたいして意味がないことなのかもしれません。
居住地域の気候なども関係しているということもあるかもしれませんね。
イヌイットのように北極圏のツンドラ地帯などのすごく寒いところに住んでいれば、さすがに衣服のようなものを身につけるんでしょうけども。
ただし、下半身を隠すかどうかについては別のことですが。
世界中がポケモンに夢中になり、歩きスマホが問題だとか・・・、私たちの耳に当たり前のように入ってくるありとあらゆる情報などは一切知る由もありません。
ところで、「イゾラド」は、みんな区別がつかないほど顔が似ています。
それもそのはず。
信じがたい話ですが、外からの血が混ざることなく近い親戚同士で子孫を生み続けているからと言われています。
そんな彼らですが、過去にペルー政府は幾度となく「イゾラド」との接触を試みています。
果実を運び、彼らに近い原住民の言葉やボディーランゲージを使ってコミュニケーションを取り、
彼らを文明社会に適応させようという動きもあったようです。
しかし、文明社会と接してこなかった彼らには免疫がありません。
彼らと接触するには10種類近い注射を打たなければいけないそうです。
それは私たち自身の身を守る目的ではなく、「イゾラド」に病原菌を移さないため。
文明側の人間と会話することや握手をすることなどの接触をすることですぐに病気になって亡くなってしまう可能性があるそうです。
文化人類学的にも非常に興味あるところですね。
現在のアウラの推定年齢が55~65歳ということで、イゾラドという民族がいずれいなくなってしまいます。
現在だけでなく過去、そして将来というか未来にこの先住民族が歴史や学問の中でどう伝えられていくのかにも興味が湧いてきます。
アウラがまだ生きているので、今後新情報などが出てくる可能性も考えられますね。
女性や子供は?
イゾラドという先住民族がこれまでの歴史の中で存在してきた以上、女性や子供がいるはずです。
ここでは、そんなことについてみていきます。
「イゾラド」だけに限らずアマゾンの原住民は、より野生に近い性だと言われています。
結婚していない10代の女性が妊娠することもあるし、未婚で子供を生んで母親となる女の子もいます。
また、父親が誰だかわからない子供を産むこともあるようです。
広い空間の中で集団生活をしていれば、自然の摂理でそうなるのも仕方のないことかもしれませんが、彼らよりもはるかに高度な文明社会の中にる私たちにはとても考えられないことです。
「イゾラド」の女性というか女の子は10代で結婚し、平均14歳で妊娠し出産します。
出産すると、人間として育てるか精霊のまま森の中に返すかを決めます。
精霊のまま森に返す場合には、産み落とすとその場であやめてしまいます。
そして、へその緒が付いた状態でバナナの皮に包み白アリの巣に納め、翌日白アリが食べたのを確認してからその巣ごと焼いて神に報告するのです。
へその緒が付いた赤子は精霊であるという概念です。
男性は締め出され、出産した女の子は女性たちに囲まれて儀式を行います。
文明社会で生活していれば避妊や中絶ということも出来ますが、原住民には避妊や中絶の概念がないため、育てられない場合は精霊に返すということになるようです。
しかし、その晩女の子は鳴咽し泣くのだそう・・・。
母性本能なんでしょうね・・・。
切ないです・・・。
いくら文明や文化、価値観が違うといえども、人間の女性としての子供に対する本能的な部分はもちろん同じなんでしょうね。
アウラとアウレ
今から30年前、アマゾンの奥深い森から突然現れた真っ裸の二人の男。
ブラジル政府は一人をアウレ、もう一人をアウラと名付け保護することに。
二人が使う言語はこれまでのどの先住民とも大きく異なる未知の言葉でした。
そのため、ブラジル中でその言語を理解可能な人間は一人もいませんでした。
その後、政府の依頼を受けた言語学者のノルバウ・オリベイラさんが周囲にあるもの一つ一つを確認するという地道な言語調査をおこないました。
そして、30年もの年月がかかりましたが、800単語の意味が判明しました。
実際には、200語程度は他の民族が使用している言語と被っていたようです。
アウレが亡くなり、たった一人のイゾラドとなったアウラの調査は継続されました。
そして、アウラが繰り返し言っていたことが部族に起きた出来事を連想させるものでした。
それが自分以外の部族の全員が亡くなってしまって絶滅したことに関すること。
アウラ自身が何者であるのか?
どうしてアウレと二人っきりになってしまったのか?
イゾラドという未知の部族に起こったことは一体何なのか?
いろんな謎があり、またたくさんの疑問が湧き出てきます。
今現在のアウラの推定年齢は55~65歳と言われています。
なので、いずれそんなに遠くない将来に一つの民族が完全に消滅することになります。
最終的に、これらの謎や疑問が解き明かされる日がくるのかがすごく気になるところですね。
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